胃痛とは何か
一般的に、みぞおちの辺りに痛みがみられることを胃痛と表現します。胃酸の過剰な分泌や細菌等により、胃の粘膜が傷つけられてしまったり、胃の機能が低下して不調になる等の原因があります。
胃痛の痛みはどのような痛み?
胃痛といっても痛みの表現はいくつかあります。医師は、この痛みの表現を原因になる疾患を考えるための手がかりにしています。
- シクシク:鈍い痛みが続くような感じです
- キリキリ:鋭い痛みがはしるような感じです
- ズキズキ:脈が打つような痛みがずっと続くような感じです
- キューっと痛い:締めつけられるような感じです
日常生活における、胃痛の主な原因は何か?
胃痛の主な原因は食生活、ストレス、ピロリ菌です。暴飲暴食や消化の悪いものを摂ることによって胃酸の分泌が高まり、胃の粘膜を傷け、胃痛が起こります。香辛料やアルコール等も注意が必要です。また、ストレスは自律神経の乱れにつながります。自律神経は胃や十二指腸の働きをコントロールしています。乱れると胃酸が過剰分泌されて、粘膜を傷つけ痛みを起こします。ピロリ菌は、胃の粘膜を覆う粘液のなかにいて、粘膜を傷つけて胃痛を起こします。胃のなかは強い酸性のため、細菌は生息できないですが、ピロリ菌は酵素をつくり、胃液中の尿素からアンモニアをつくりだし、アルカリ性に変化させて生育します。ピロリ菌が胃の粘膜を傷つけるメカニズムには、ピロリ菌がつくる分解酵素も関係しています。
胃痛が起きる病気
急性胃炎
突然、胃がキリキリと痛みはじめます。さらに、重苦しく感じられる胃の膨満感がする、胸焼けがする、吐き気がする場合もあります。原因は、細菌やウイルスの感染になります。また、暴飲暴食やストレス等も関係しています。
慢性胃炎
長い間、胃の粘膜が傷ついたり、修復したりを繰り返すことにより、胃の粘膜が萎縮して、修復が追いつかなくなります。主に、ピロリ菌の感染が原因になります。慢性的な食習慣の乱れやストレスから起こる場合もあります。慢性胃炎は、胃の膨満感やもたれ、胃痛、胸焼け、むかつき、吐き気等がみられます。
逆流性食道炎
酸性の胃の内容物が食道に逆流して、胸焼け等を起こします。逆流性食道炎は、粘膜が傷ついたり、びらんをともなう一方、非びらん性胃食道逆流症は、粘膜の傷がみられません。どちらも胃痛や胸焼け、喉や口に酸っぱさや苦さを感じる場合があります。食べたあとすぐに寝転ぶ、腹圧がかかる、胃内圧上昇等が原因です。
胃・十二指腸潰瘍
胃の粘膜を攻撃する因子と守る因子のバランスを保っていますが、バランスが崩れると胃酸過多、胃や十二指腸の一部が欠損します。胃潰瘍と十二指腸潰瘍に分けられ胃痛やむかつき、腹部膨満感がみられます。胃潰瘍は食べたあとに胃痛があり、十二指腸潰瘍は空腹時の胃痛が多く、原因としてピロリ菌感染や頭痛等の鎮痛剤が考えられています。
胃痛の検査方法について
検査により、症状の原因や重大な疾患があるかどうかしっかりみて、完治を目指します。
胃痛の検査方法は3つあります。1つ目は腹部超音波検査です。肝臓や膵臓、胆嚢等の様子をみるために、超音波を使用して行います。検査当日は、食事を抜いてから受診してください。2つ目は血液検査です。血液を採って、炎症があるかどうか判断します。3つ目は胃カメラです。食道や胃・十二指腸の粘膜の様子を直接みます。疾患の疑いがある部分がないかみて、もし異常を起こしている粘膜を見つけた場合は、採って生検を行います。炎症や腫瘍、がんの確定診断を行う場合も必要な検査です。
このような際にもご相談ください
- 嘔吐や発熱がある場合
- 我慢できないほどの激しい痛みがある場合
- 市販薬を3日ほど服用しても、症状の改善がみられない場合
- その他、何か異変を感じられた場合
など
胃痛を起こさないためには
胃痛を起こさないことが一番です。そのため、胃痛の原因が分かれば、胃痛が起こることを予防できる場合があります。普段から胃痛が起こりやすい方は、医療機関へ相談したり、自分自身の生活を見直してみましょう。そして、胃痛の原因を理解したうえで予防に取り組みましょう。
規則正しい生活をしましょう
食事を抜くことが多いと、空腹の時間が長くなります。そのため、胃が荒れる原因になります。就寝する前の食事も胃に負担をかけます。できれば1日3食、決まった時間帯に食事を摂ることが望ましいです。また、睡眠不足も体にストレスを与えるため、自律神経が乱れてしまいます。ゆっくり休むことも大切です。
暴飲暴食を避けましょう
脂っこいものや度数の強いアルコールを摂ると、胃に負担がかかります。冬は忘年会や新年会が続いて、胃痛を起こす方が多いです。普段から腹八分目を心がけて、夏は冷えた飲み物やアイス等を口にする機会が多いかと思いますが、冷たいものの摂りすぎも胃の働きを悪くする原因になります。そのため、注意が必要です。
たばこを控えましょう
喫煙は、血行や胃を悪くするといわれています。胃の毛細血管への血流量が減ってしまうと、胃粘膜が弱くなります。また、胃の機能が低下してしまうと、胃痛につながります。喫煙が習慣になっている場合は、慢性的にその状態になるため、潰瘍ができやすかったり、再発もしやすくなります。
定期的なストレス発散をしましょう
ストレスが重なると自律神経が乱れます。そして、胃酸の過剰分泌につながります。自分なりのストレス発散方法を見つけましょう。ストレスをためないように心がけていくことが大切です。深呼吸をしたり、ぬるめのお湯にゆっくりと浸かったり、リラックス効果があるアロマを生活に取り入れる等も自律神経を整えられます。
ピロリ菌の除去をしましょう
子どもや高齢者は、年齢によって使用できない市販薬があります。胃痛によっては、悪化が早い場合があります。胃痛がありましたら、お早めに当院までご相談ください。また、妊娠中や授乳中は、特に注意して医師の指示に従うようにしましょう。保険診療により、ピロリ菌の検査や除菌治療を行うには、内視鏡検査が必要です。